海外旅行に行くと決めた時に、まず考える「航空券選び」
同じ目的地でも、航空券の価格は数万円単位で違いが出ることもあります。
なぜこんなに差が出るのか、どんな種類があるのか
――海外航空券の仕組みを理解しておくと、賢く・お得に・トラブルなく旅行を楽しめます。
この記事では、海外航空券の種類や料金の仕組み、購入方法、Eチケット、注意点までを丁寧に解説します。
1.海外航空券の主な種類と特徴
正規航空券(正規運賃・PEX運賃)
航空会社の自社サイトや旅行会社やオンライントラベルエージェント販売している航空券です。
同じ便でも空席状況により予約クラス(料金帯)が変わり、金額に大きな差がでます。
これは「イールドマネジメント」と呼ばれる航空会社の収益管理手法によるものです。
そのため、予約が早いほど(空席の数が多いほど)安い予約クラス(料金帯)で航空券購入ができる傾向があります。
- ◎ 柔軟性が高く、変更やキャンセルが可能な場合が多い
- △ 価格はやや高め
格安航空券(包括運賃・IT運賃)
旅行会社が航空会社と特別契約を結んで販売する航空券なので、旅行会社でしか購入が出来ません。
制約がある代わりに安い航空券です。
- ◎価格が非常に安いことがある
- △価格や販売方法、条件・制約などの内容が旅行会社によって大きく異なる。
- △予約変更やキャンセルが不可の場合が多い、マイル積算の対象外のこともあります。
LCC(ローコストキャリア)の航空券
- ◎破格の航空券が手に入ることも
- △機内預け荷物代・座席指定・機内食などは基本的に有料、遅延時の補償も限定的
LCCは、機内サービスや預け荷物などをオプション(別料金)にすることで運賃を安く抑えた航空会社です。
(例:エアアジア、スクート、ピーチなど)

2. 航空券の価格はどう決まる?
航空券の料金は「運賃」だけではありません。以下の3つの要素が合算されています
① 基本運賃(ベースフェア)
航空会社が設定した、座席の「等級(予約クラス)」ごとの基本料金。
最近は、購入者の希望に合わせたブランド運賃を設定した航空会社も多くみられるようになりました。
ブランド運賃とは?
従来の「座席キャビン(エコノミー/ビジネスなど)」に加え、変更やキャンセルの払い戻し可否・手荷物の有無(個数)・マイル加算・座席指定の有無などをセットで分けた料金体系。
価格の違いは「サービス内容の違い」と考えるとわかりやすいです。
ブランド運賃は、特にオンライン予約や比較サイトでは見落としがちで、後で「預け荷物有料だったの!?」「変更できなかった…」とならないよう、購入前に内容を確認しておくことが大切です。
② 燃油サーチャージ
航空燃料費の高騰に応じて追加される料金。航空会社が数ヶ月ごとに見直します。
③ 空港使用料・税金
出発・到着する空港で必要な施設利用料や出入国税やシステム使用料など。
3.航空券の購入方法は主に3通り
■ 旅行会社

行先は決まっているのに、どの航空会社を使ったらいいのかわからない。



自分の希望に合うものを提案してほしいという方は、旅行会社を使った方がいいです。
豊富なルートの中から最適な航空会社を提案してくれるだけではなく、必要であれば空港からホテルまでの交通手段、ホテルの手配や海外旅行傷害保険の申し込みも同時に行って、旅程に無理が無いか管理してくれます。
また目的地の入国に関してのビザや事前渡航許可書申請についてのアドバイスをもらうことも可能です。
場合によっては、飛行機と宿泊を別々に手配するより、フリープランのパッケージツアーを利用した方が安い場合もあり、その提案をしてもらうことも。
旅行会社は、旅行に関する取扱い範囲が広い分、知識も豊富なので、特に初めて海外に行かれる方は相談していただくことをお勧めします。
■ 航空会社の公式サイト



航空会社は決まっているんだよね。マイルを貯めたいし。。



航空会社が決まっているなら、航空会社公式サイトを見ることをお勧めします。
時期によっては独自キャンペーンを行っており、その航空会社のサイトから直接予約での料金が安かったり、ホテル1泊無料でついてくる、家から空港までのタクシーも無料でついてくる、などの特典がある場合があります。
■ オンライン トラベル エージェント(OTA)
インターネットの普及に伴って登場したOTA(Online Travel Agent)。実店舗を持たず、すべてをインターネット上で完結できるのが特徴です。
格安航空券の取り扱いもあり、予約が簡単にでき利便性が高いというのも人気の理由です。
海外のOTAも多く日本に参入しており、購入する際には日本語のサポートがあるのか、もし行けなくなった場合キャンセルは可能なのか、OTAの手数料はいくらかかるのかなどを事前に確認して、トラブルを回避するようにしましょう。
航空券比較サイト(メタサーチ)ってなに?
代表的なところで、Skyscanner・Googleフライト・トラベルコ・Skyticket など
複数の航空会社や代理店の価格を一括検索できます。時間帯や経由地なども比較可能で便利。
検索するタイミングにより、表示される航空会社や代理店が変わり、料金も変わってしまうので注意が必要です。
比較サイトから、その表示されている航空券の取扱い会社へ遷移して予約するようになるので、最終的な購入先(代理店)の信頼性も確認しましょう。
4. 航空券の「予約」「発券」と「Eチケット」の仕組み
■ 予約=発券ではない
「予約」だけでは座席は確保・確約されません。
支払いを完了し「発券」されることで初めて有効なチケットとなります。
*予約:空席のある席数を、期限付きで確保している状態
*発券:予約している座席を、発券する日に適用できる運賃・燃油代・税金を合算して全額支払い、航空券を発券して初めて予約が確定となります。
なので予約完了後は、購入期限までに「発券=支払い」をしないと予約は自動でキャンセルされてしまうので注意が必要です。(自動キャンセルとなった時でも取扱い旅行会社の手数料が発生する場合があります。)
その状況を回避するため、オンラインで購入の場合は、予約後に即時支払い(=発券)となっている場合が多く、
別途、「〇日まで購入せずに席を確保しておく場合は、〇〇料金がかかります」とオプション設定をしている会社もあります。



サイトから予約して精算もクレジットカードで完了したけど、発券されているかが、よくわからない。



発券済みとは、航空券番号が発行されている状態のことを指します。
これは予約番号とは別で、航空券番号は13桁の数字です。
頭3桁がチケットオーナーの航空会社番号で、後の10桁が券番号で構成。
例えば、JALなら131から始まり、ANAなら205から始まります。
航空券番号を確認すると、チケットオーナーの航空会社と実際搭乗する航空会社が違う⁉
これは共同運航便(コードシェア)を利用する場合や、システムで発券出来ない航空会社を予約した場合によくあることなので焦らなくて大丈夫です。
発券後は「Eチケット控え」が発行され、そこに航空券番号、予約番号とともに搭乗フライトの記載がありますので、その内容で予約は確定しているということになります。
■ Eチケットとは?
海外航空券は紙のチケットではなく、現在はすべて電子的に管理されています。
発券後には、予約番号、航空券番号や旅程表、搭乗者情報などを含む「Eチケット控え」がメールなどで届きます。
この「Eチケット控え」がEチケットの内容を記載したものになります。
搭乗時や入国の際に提示する場合もあるので、印刷してお持ちいただくことをお勧めします。
5.予約後~出発当日までの流れ
- 予約(パスポートに記載の名前と同じスペルであることが大切)& 支払い(発券)
- Eチケット控えの確認(旅程・名前のスペルも再チェック)
- オンラインチェックイン(航空会社によって24〜48時間前)
オンラインチェックインが完了すると搭乗券が発行されるので、当日はスマートフォン(モバイル搭乗券)又は印刷した搭乗券を持って空港へ。
※オンラインチェックインができない航空会社もあります。
またオンラインチェックインをし忘れても、当日にチェックインカウンターで手続きをすれば問題はないです。 - 空港へ
空港でのチェックインや出国審査が長蛇の列になる場合があるので、出発3時間ほど前の早めの到着が基本です。
・オンラインチェックインをしていて、預ける荷物がある場合:
BAGGAGE DROPで荷物を預けます。通常チェックインカウンターの並びで受付しています。
搭乗券が無い場合は、荷物を預けた時に発行してもらえます。
・オンラインチェックインをしていて、預ける荷物が無い場合:
搭乗券をお持ちであれば、そのまま保安検査場へ進みます。ない場合はカウンターで発行してもらいます。
・オンラインチェックインをしていない場合:
チェックインカウンターに並び、チェックインし、荷物を預け、搭乗券を受け取ります。 - 保安検査場 → 税関審査 → 出国審査 → 搭乗ゲートへ → 飛行機に乗る!
出国審査を抜けると、Duty Free Shopやカフェ等があります。空港に早めについた場合は、こちらでゆっくりと時間をつぶしていただくか、ラウンジ利用が可能な方はラウンジで搭乗開始時刻までくつろぐことが出来ます。
まれに、ここでゆっくりしすぎて乗り遅れた、という方もいるので、先に搭乗ゲートと搭乗開始時間は確認してくださいね。
ボーディングパス(搭乗券)に記載の
「搭乗時刻 Boarding Time」と「出発時刻 Dep.Time」の見間違いに注意!
出発時刻 = 搭乗終了時刻ではないのです!
出発時刻とは、飛行機が動き出す、つまり牽引車によってプッシュバックされて機体が動き出した時刻を指します。そんな時にゲートに行ってもすでに機体はゲートから離れてしまっているので、搭乗することが出来ません。
搭乗終了→ドアクローズ→ブロックアウト(動き出し)には最低でも5分~10分はかかるので、搭乗は出発の10~15分前頃には締め切られてしまいます。「搭乗時刻」にはゲート前に居るように心がけてくださいね。



古いパスポート持ってきちゃった。。という方もたまにいらっしゃいます。もちろん搭乗できませんので、パスポート忘れないでくださいね。
やらかすと、、乗り遅れで航空券は新しい旅程で買い直しとなる場合もあります。
6.トラブル回避のための注意点
- 名前のスペルミス → 発券後の修正は、ほぼできません!そうなると、キャンセルして買いなおしに。。
- キャンセル・変更可能な航空券か予約前に確認
- パスポートの残存期間:目的地によって6ヶ月以上必要な国も
- 乗り継ぎ地や目的国のビザや電子渡航申請の要否(例:カナダ・アメリカ経由はESTA/ETAが必要)
- 航空会社のマイル加算条件(格安航空券は加算対象外のことも)
■ 変更・キャンセル料の仕組み



仕事の都合で旅行に行けなくなったので、サイトから予約取り消ししたら取扱いのOTAからNon Refundable という英文メッセージがきていて、問い合わせ先がみあたらない。お金戻ってこないってことなのかな。



それは返金ができない航空券を購入されていた、ということですね。なので残念ながら払い戻しはありません。
航空券によっては、日程の変更や払い戻しができるものと、一切できないものがあるので、予約時の確認は必須です。
【変更についての注意】
基本的に航空券は、同じ航空会社での予約変更となります。
(条件によっては同アライアンス航空会社への変更が可能な場合あり)
航空券の変更(交換発行/Reissue)が
「航空会社手数料 無料で可能」
「航空会社手数料 有料だが可能」
「不可能」
なのか、購入前に確認する必要があります。
不可能な場合は、予約変更が一切できないものなので、どうしても変更する必要がある場合でも、
別途、新しく買い直しになってしまいます。(払い戻しも不可の場合はキャンセル後の返金もありません。)
海外航空券の変更(交換発行/Reissue)は「人の手」で行うため処理に時間がかかります。
予約を変更したらOKではなく、航空券を新しく「発券しなおす」必要があります。
これは航空会社ごとの多岐にわたる規定確認や運賃差額計算、taxのレート計算などを「人の手で」行い、交換発行をしないとならないため、航空券取扱いに慣れた旅行会社の人間でも時間のかかる作業となります。
航空会社によっては、もともと搭乗する予定だった便の出発時間までに、新しい旅程に変えたこの交換発行の処理を終えないと、航空券自体が無効になってしまうという規定もあります。
そのため変更が決まったら、早めに手配先に知らせていただく必要があります。
【キャンセル・払い戻しについて】
「予約のキャンセル」は、予約した旅行会社や航空会社サイトからすることが可能です。
搭乗予定便の出発前までにキャンセルすることが必要。
航空会社によっては〇日前からキャンセル料金が高くなるという規定もあるので注意してください。
予約キャンセル後の「航空券の払い戻し」に関しては、
「航空会社手数料 無しで返金可能」
「航空会社手数料 有料だが返金可能」
「返金不可」
のどれにあたるのか、こちらも予約時に確認をしておく必要があります。
航空会社手数料は無し/有料で払い戻し可能でも、手配会社の手数料はかかり、払い戻し金額から差し引かれます。
払い戻しは、手配会社の精算規定も関わってくるためすぐに返金される訳ではなく、日数がかかります。
また元々往復航空券を購入していて、復路のみキャンセルしたとしても料金の半額が戻るわけではありません。



一般的に変更や取り消し規定が緩い(柔軟性がある)ものは航空券代が高く、逆に規定の厳しいもの(払戻し不可)は安いです。
7.まとめ:仕組みを理解すれば、もっと自由に旅ができる
海外航空券の仕組みは、最初は少し複雑に感じるかもしれません。
「いつ・どこで・どんな条件」で購入するかによって、料金も使い勝手も大きく変わるからです。
しかし「安さの裏にある制約」を理解すれば、自分に合った旅のスタイルに合わせて、賢く・柔軟に選択できるようになります。
航空券は金額の大きな買い物となりますので、賢く選択したいところです。



航空券は「安さ」だけでなく、「手配会社や航空会社の信頼性」や「変更や取り消しの柔軟性」も大切な要素。
旅が快適で安心なものになるよう、この記事が一助となれば幸いです。